結婚 夫婦をとりまく人間関係
再婚について

再婚と子ども、再婚と遺産問題

再婚と子ども
子どもを連れて行くか 
子どもに兄弟が多いときには、子どもは子どもでやっていけるから、連れて行かないほうがよい。子どもが一人だったり、小さい場合には、親の立場がわかるまではいっしょに暮らしたいーこれは大坪さんの考え方です。男女がほんとうに愛し合っているなら、その子どもも愛せるーなどということが、ほんとうはとてもむずかしいことなので、事情が許せば、子どもという付属なしに結婚への出発が望ましいといえましょう。けれども、その子どもをどこへ預けるかということになれば、問題は簡単ではありません。入籍を拒否されたり、子どもを冷酷に扱われたり、それでもこの結婚をのがしては、と考える女の悲しさ。しかし、もしそんな立場に自分がおかれるなら、この結婚からはすっぱりと気持を離して、別の道に生きるだけの強さと賢明さとが女にはほしいと思うのですが。
子どもの年齢 
子どもが何才になってからとか、何才の子どもをもっている人ならーなどという考え方が、再婚の基本になってはいけませんが、子どもの年齢のことだけにこだわりをもっている人があれば、ごく小さいときか、物事のわかる年齢になってからのほうがよい、とは島津久子さんのご意見です。一方、小学六年生から二十才までの四人の子どもの継母になった小谷昭子さんは、むずかしい年ごろの子どもは大変だったけれど、わかってくれる時期も早くきたように思います。小さい子どもの場合は、そのときは少しよくても、苦しむ期間が長くっづきます。子どもに自分なりの判断ができたとき、子ども自身もいろいろと考えて苦しんでいたようです\"と語っています。
子どもの扱い方 
島津久子さん自身、三十才の初婚で、四人の子どものあるところへとついだ方です。島津さんは、子どもがとても好きで、扱い方にはなかなか自信もあったそうです。しかし、方針としては、ほんとうの自分の子どもだと思って育てようなどという〃欲ばった〃ことは、いっさい考えなかったと言っています。こうしたら子どもがひがむだろうとか、義理ある子だからと考えると、よけいこじれたものになる。子どもというものは、どう育てたらよいのか、と一般の育児を考えただけで、人の子、自分の子の区別した意識をもたなかったということです。いま島津さんを見ていると、この方はだれにでも率直にうち解けて対する代り、まただれにも特別の扱いをしない、こだわりをもたない人がらのようです。おそらく四人のわんぱく坊やたちにも、よい意味でのむとんじゃくさで接し、生活を運んでいったのではないかと思われます。\"人に相談することはよいが、周囲の雑音を気にして右往左往すれば、自分も家族も不幸になるだけです。世間のいうことにこだわっていたら、自分の理想は伸ばせません。世間に対して、自分はいっさい弁解しない、考えない。人の忠告も聞きのがすーこういうやり方でやってきました\"と先輩として、島津さんは教えてくれました。しかし、小山さんも言っています。ほんとうに子どもとの間は大変なものです。善意や好意が悪くとられ始めると、キリがありません。ある時期そんな苦しい立場におかれることは、覚悟していたほうがよさそうです。そのとき、たよりにする唯一のものは、やっぱり人間としてのいたわり合いと親切の気持でしょう。〃ほんとうに、この苦しさは、日が解決してくれるのです。何ヵ月などという日ではなく、何年間も、互いにがまんするより手がないのです。私の場合、その長さは、人の力がこんなにも無力かとしみじみわかるほどの年月でした。気短かに投げ出すことがいちばんいけないのですね\"とは、小山さんの述懐です。
初婚で後妻にいく人へ 
子どもがいる場合には、やはり子どもの好きな人でなければ無理です。また、\"一人も四人も同じですよ\"などというのはほんとうの仲人口。子どもどうしが仲好く自分たちの世界をつくって、新しい母にこだわりをもたずにいく場合はいいが、その逆に、集団で母へ攻撃を開始したら、とても手におえないーこんなふうに言っていた経験者もいます。自分ならやってみせる、あの子どもがいるからこそ私がとつぐ必要があるのよ、などという過信した英雄主義、博愛主義は失敗のもとです。
子どもたちの立場から
思春期の子どもたちが、新しい父や母に不潔感をいだいたり、もっと小さい子どもが、自分の愛の対象を奪われたと思い悩むことがあります。この気持に親は気づいてやらなければかわいそうです。子どもたちが、新しい父や母を、おとうさん、おかあさんと呼びにくい気持もごく自然です。そんなときは無理に呼ばせることはないと思います。ある人が、おしゅうとめさんについて、\"おかあさんだと思うから、気持にしこりができる。ただの老婦人だと思えば、いたわる気持にもなれるのだけど\"と言いましたが、まま子の気持も同じです。呼び名にこだわる必要は全くなく、むしろ、おとうさん、おかあさんの恋人と考えるほうがほほえましい。おじさんでも、おばさんでも、また名前を呼んでも、そんなことは議論するほどのことではないのです。子どもたちは、赤の他人の、年上の人または年配者に対する対し方をすればよいのです。そういう人にもつ、ごく普通のすなおな気持をもっていればよいのです。また、ある家庭では、再婚の夫婦はうまくいっているのに、子どもたちは家へいっこうに寄りっかず、夫がひどくさびしそうだと語った奥さんもあります。大きくなった子どもたちは、やはり、ある程度の心づかいをもってほしいと思います。


再婚と遺産問題

再婚で、もう一つ問題になりがちなのは、遺産相続の場合です。法律上、再婚した妻は、夫の子どもたちとは親子関係がないのです。夫が死亡した場合、遺産の三分の一は妻に与えられるはずなのに、しばしば問題が起こり、家庭裁判所へ持ち込まれます。たとえば、現金がなくて、一軒の家だけが残ったような場合に、ややこしいもつれが起こるのです。また、妻に実子がない場合、その進退が問題になることもあります。夫は妻のために、きちんとした遺言を残すことがまず大事です。また、夫の子どもを妻の養子として入籍する方法などもあります。夫の死後にあわてることのないよう、結婚するときに、あらかじめ夫婦の間で話し合いがじゅうぶんされるとよいと思います。法律できめられているだけのことは、堂々と妻が要求してよいのです。しかしそれ以上の期待や報酬を求めて争いを起こすのは、実の親子の間でさえも考えなければいけないことだということをつけ加えておきます。(「夫婦に関する法律」687ページ参照)(島津久子ほか)